ツバル写真集・地球温暖化でツバルは沈むか?

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                   なぜ浸食されるのか?2

フナフチ島の海岸線は第2次大戦中に大変革を受けていたのですよ。しかし、この事実を日本語で紹介したサイトは、ネット上にほとんど無いので、少々しつこいですが、さらに文献を紹介しておきます。

Xue C. and Malologa F. (1995). SOPAC TECHNICAL REPORT 221:Costal sedimentation and coastal management of Fongafale, Funafuti Atoll, Tuvalu. Suva.
・『第2次大戦中の内海側海岸線の変化』(Change in the lagoon coastline during WWII)という章に、第2次大戦中の米軍による埋め立てについて、多少詳しく書かれています。
・この文献中の一節が今のツバルの海岸線の状況を端的に表現しています。『フォンガファレ島の土地は非常に狭く限られているので、人々は埋立地を維持しようと努力している。この事実は、人間の欲望と自然の営みの衝突を引き起こしている。』。つまり、土地が欲しいという人間の欲望と、人為的な埋立地を自然な姿に戻そうという自然の力が対立している、それが今のフォンガファレ島の海岸侵食の事実なのです。


Xue C. (1996). SOPAC TECHNICAL REPORT 234: Costal erosion and management of Amatuku Island, Funafuti Atoll, Tuvalu. Suva.
・フナフチ環礁内のアマトゥク島における第2次大戦中の土地改変に関する記述があります。アマトゥク島には現在、船員養成学校があります。驚く無かれ!当時の米軍は、アマトゥク島と隣のムリテファラ島をの間に連絡通路(causeway)を通して連結してしまったのです!!!そのための土砂は海底の浚渫によって得たものです。またアマトゥク島に船を着けるために内海側を大規模に浚渫しています。


これら2つの文献を読むと、戦争のために島の自然環境が徹底的に破壊されたことが分かります。現在の目でみれば、よくもまぁ、これだけの破壊をしたものだ・・・とも思えます。しかし、人類は第2次大戦後も、数十発の核兵器を大気圏内で爆発させています(核実験)から、当時は戦時中に小さな島を改造することくらい何とも思わなかったのかもしれません。

21世紀の現在では、戦争のためとはいえ、これほどの環境破壊は世論が許さないでしょうか?しかし、人類は第2次大戦以後、“世界大戦”を経験していません。全世界が戦争に巻き込まれるような事態になっても、人類は地球環境の事を考えるほど進歩したでしょうか?

20世紀半ばの人類は、フェレンギに“原始的”と揶揄されました。21世紀の人類は、Qの裁判で無罪を勝ち取ることができるほど進歩したでしょうか?


      
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『地球温暖化でツバルは沈むか!?2008』