ツバル写真集・地球温暖化でツバルは沈むか?

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                   なぜ浸食されるのか?1

テプカ島のヤシの木バタバタは、環礁における自然現象と考えて良いでしょう。では、フナフチ島の海岸侵食(コレとかコレ)はどうでしょうか? ツバルで一番人口の密集したフナフチ島においては、一般にはほとんど知られていない大前提をお伝えする必要があります。1つの報告書を紹介します。下の写真を見て下さい。


(SOPAC. (2006). TUVALU TECHNICAL REPORT: Coastal change analysis using multi-temporal image comparisons, Funafuti Atoll. http://www.sopac.org/data/virlib/ER/ER0054.pdfから引用)

これは1941年のフナフチ島中心部の航空写真です。同時に緑色の線は2003年の海岸線。外洋側(写真右側)の海岸線は、1941年も2003年もほとんど変わりませんが、ラグーン側(写真左側)は、何だかヘンだと思いませんか?そう、写真の海岸線と緑の線の間に白い“隙間”がありますよね。つまり2003年の海岸線は、1941年の海岸線よりもだいぶ海側に突き出しているのです。これはどういうことでしょう??? 実はこの部分、米軍による埋立地なのです。1943年に米軍はフナフチ島に滑走路を建設しました。その際、ラグーン側を幅25〜30mに渡って埋め立てたのです。

この報告書には、埋立地の断面図も載っていますので、紹介しておきます。
       
(Webb A. (2006). TUVALU TECHNICAL REPORT: Coastal change analysis using multi-temporal image comparisons, Funafuti Atoll, Suva. http://www.sopac.org/data/virlib/ER/ER0054.pdfを改変)

黄色い点線が1941年の海岸線、緑の点線が2003年の海岸線、この間、幅約25〜30m。ちなみに1は埋め立てるにあたって建設した“壁”です。1と4の間にフナフチ島内およびラグーン内を掘り返して採取したサンゴのガレキを敷き詰めたわけです。これを突貫工事でやったというのですから、戦争のエネルギーというのは恐るべきものがあります。ちなみに同報告書によると、1の“壁”は、ヤシの木の丸太などで組んだ物だったらしく、現在では残っていません。

つまりこういうことです。現在、フナフチ島のラグーン側が削られているのは、第2次大戦中の米軍が突貫工事で埋め立てた場所が削られているに過ぎないのです。人為的な海岸線の改変に対して、自然が抵抗しているとも言えるでしょうか。

現在のツバルにおける海岸侵食に、地球温暖化の影響が全くないとは言い切れないかもしれません。しかし、上記の事実を考慮した上で、ツバル水没説を唱える人は、残念ながらいないようです
      
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『地球温暖化でツバルは沈むか!?2008』