ツバル写真集・地球温暖化でツバルは沈むか?

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                   なぜ浸水するのか?


 ツバルの内陸浸水を見てきました。こういった写真は、ツバルの象徴としてマスコミを賑わす事が多いのが現状です。しかし、ツバルの浸水は100年前に書かれた本*1にすでに記されています。国土全体が生物由来の材料でできている環礁では、浸水は特別な出来事ではないのです。

 2007年に興味深い論文*2が発表されています。この論文では、過去100年以上に渡るフナフチ島(ツバルの首都のある島)の地図を元に、土地利用、地形、人口、建物の分布の変化を解析して、フナフチ島の中央部がもともと浸水しやすい湿地であった事を明らかにしています。また第2次大戦前には、浸水しやすい湿地には人は住んでおらず、もっぱら海岸沿いのみに住んでいた事、それが近年の人口増加によって、元々湿地だった場所に人が住むようになった事を示しています。

 上に示したような写真は全て、元々湿地だった場所です。100年前から浸水していた場所です。だから昔は人が住んでいなかった場所です。人口増加による土地の不足、そのため住みづらい湿地―元々人は住んでいなかった―に住居を求めざるを得なくなった、それが現実なのです。

海抜が1〜2mの湿地に住む人たちが、最も地球温暖化による海面上昇の影響を受けやすいのは確かでしょう。しかし、その前に、これまでに記したようなツバルの地質(国土が生物由来の物質でできている)、歴史(人口増加によって湿地に人が進出した)などは、知っておく必要があるでしょう。


*1
David, T. W. Edgeworth (ed) (1904). The Atoll of Funafuti. Borings into a Coral Reef and the Results. Being the Report
of the Coral Reef Committee of the Royal Society. Section IV. Narrative of the Second and Third Expeditions. The Royal Society of London, London.

*2
Yamano H, Kayanne H, Yamaguchi T, Kuwahara Y, Yokoki H, Shimazaki H, Chikamori M (2007). Atoll island vulnerability to flooding and inundation revealed by historical reconstruction: Fongafale Islet, Funafuti Atoll, Tuvalu. Global and Planetary Change. 57; 407-416.

      
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『地球温暖化でツバルは沈むか!?2008』